シルバーアクセの地金ジュエリー化
銀地金相場の高騰が甚だしく(2020年4月頃1グラム55円→2025年12月23日現在1グラム390円)、シルバーアクセサリーの販売店は著しい値上げを行っています。
欲しかった五万円のシルバーアクセが、一気に十万円になっていまえば、驚きと悲しみと諦めの感情に襲われ、そっと店を出ていくしかありません。
貴金属としてはリーズナブルだったシルバーアクセは、付加価値の高いブランド物(エルメスやクロムハーツなど)以外は、資産としてではなく、通常の服や靴などと同様に見られがちでした。
しかし、シルバーも1g400円程度になると、もはや2000年頃のk10ゴールド(10金)とほぼ同額であり、資産としての地金ジュエリーへと変化しつつあります。
地金ジュエリーの特性
地金ジュエリーは、値上がりしても値上がりに成らない(値下がりしても値下がりに成らない)という、特殊な性質を持っています。
地金ジュエリーの値上げは、60円のチョコボールが130円に値上げされるのとは、まったく意味が異なります。
地金分の価値額が、そのままキャッシュバック(というかインゴットバック)されるためです。
地金ジュエリーは「お洒落な形に変形したインゴット」を買うに等しく、一種の投資(資産の変換、円→銀)であり、単なる浪費ではありません。
100g五万円のシルバー925ブレスを買うことは、36,075円(厳密には地金購入の際は消費税が乗るので39,682円)分の銀地金を購入するに等しく、消費するのは13,925円(厳密には10,318円)です。
ですから、楽天市場で一万円位で販売されている真鍮製の100gのシルバーメッキブレス(換金性ほぼ0円)を買うのと、実質的な消費額は大差ないのです。
地金ジュエリーのリスク
勿論、銀は価値が変動するリスクがありますが、円も価値が変動するため、リスクの有無は変わりません。
資産を円で保有するか貴金属地金で保有するか、どちらが得かは時代によって変わります。
現代の流れとしては、円の信用が落ち、貴金属に対しての信用が上がっているのは確かで、貴金属は円などの貨幣より安全資産だとみられていますが、今後どうなるかは全く分かりません。
私が自身の制作物を造幣局の検定に出しはじめたのは、シルバーアクセが地金ジュエリー化しており、貴金属価値の証明(本物であること)と売却の際の信用(早く高く売れること)が必要だと考えたためです。
シルバーアクセを嫌わないで
勿論、「ファッションをリセールバリュー(手放す時の価値)で語ることは、もはやファッションではない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、貴金属の高い換金性を無視できるほどの大きな付加価値(作家性やブランド力)を有するメーカーや作家はごく限られています。
私はただの作家性なき地味な職人なので(デザインはすべて没個性的な古典的意匠)、リセールバリューを訴えることで、シルバーアクセの急激な値上がりによるユーザー離れを防ぎたいと考えているだけです。
長文でやや固いことを述べましたが、最も言いたいことは「シルバーアクセは値上がりしても実は安い!」「値上がりは嫌っても、シルバーアクセの値上げは嫌わないでください!」、ということです(材料費高騰に便乗して工賃等その他の費用まで上げまくる業者は除く)。
おわり